2026.11.07
※この記事は2026年11月07日時点の情報をもとに作成されました。
WordPressの保守契約書には、少なくとも「月額に含む作業の範囲」「対応する時間と連絡方法」「障害時の対応と復旧の目安」「免責事項」「解約時の引き継ぎ」の5つを入れておくべきです。中でも、含まない作業を明記することが、後のトラブルを最も減らします。
保守は「何かあったら見てもらえる」という期待と、「月額の範囲でできることは限られる」という現実がずれやすい契約です。
この記事では、制作会社様がクライアントと結ぶ保守契約、あるいは保守を外注先に委託する際の契約に入れておきたい項目を、チェックリストの形で整理します。
実務でよく聞く行き違いは、次のようなものです。
どれも契約書に書いていなかったことが原因です。保守を受ける側は「月額の範囲」を前提に考え、依頼する側は「サイトを任せている」と考えているため、同じ言葉でも想定している作業が違います。この差を埋めるのが保守契約書の役割です。
保守を外注する際の全体像は制作会社がWordPress保守を外注する|任せられる範囲と選定基準で解説しています。
最も重要な項目です。「保守一式」とせず、作業を一つずつ書き出します。
| 作業 | 含む/含まない | 書き方の例 |
|---|---|---|
| WordPress本体・プラグインの更新 | 含む/含まない | 頻度(月1回など)と、更新前の検証の有無 |
| バックアップ | 含む/含まない | 取得頻度・保管期間・保管場所 |
| 死活監視 | 含む/含まない | 監視間隔と通知先 |
| 軽微な修正(文言・画像差し替え) | 含む/含まない | 月◯回まで、1回◯分以内など |
| 障害時の調査・復旧 | 含む/含まない | どこまでが月額、どこから別見積もりか |
| 新規ページ・機能追加 | 含まないことが多い | 別途見積もりと明記 |
当社(RunLand)が下請けとして保守をお引き受けするときも、最初に「含まない作業」の一覧をすり合わせています。月額保守の行き違いは、ほとんどが「やってもらえると思っていた」作業から起きるためです。
「含まない」欄を空欄にしないのがコツです。更新や軽微な修正の外注についてはホームページの更新・修正を外注するも参考になります。
次の点を数字で決めておきます。
連絡手段を一つに決めておくことも大切です。メール・チャット・電話がばらばらに使われると、依頼の見落としや、言った・言わないの行き違いが起きやすくなります。電話で受けた依頼も、後からメールやチャットで内容を残すルールにしておくと安心です。
「すぐ対応します」という表現は避け、目安の時間を書いてください。期待値を合わせることが、信頼関係を保つ近道です。
制作会社様が保守を外注先に再委託している場合は、クライアントとの約束と外注先の対応時間がずれていないかも確認が必要です。たとえばクライアントには土日も対応すると伝えているのに、外注先が平日のみの対応だと、休日の障害で連絡がつかなくなります。
障害は「起きない前提」ではなく「起きたときの手順」を書きます。契約書には、次のような流れを番号付きで書いておくと、当事者が迷いません。
サーバー会社側の障害の場合は、保守を受けた側にできることが限られます。その場合の扱い(サーバー会社への問い合わせ代行をするか等)も書いておきましょう。
バックアップの取り方と復旧手順はWordPressのバックアップと復旧手順にまとめています。契約書の内容と実際の運用が合っているかも、あわせて確認しておきましょう。
免責は、保守を受ける側を守るための項目ですが、書き方次第で発注側の不安も減らせます。よく入れる項目は次のとおりです。
免責を書くときは、同時に「そのとき何をするか」(調査は行う、復旧は別見積もり等)も書くと、突き放した印象になりません。
損害賠償の上限(たとえば「直近の月額の範囲内」など)を定めるかどうかも、契約書でよく話題になる点です。どの程度の上限が妥当かは取引の内容によって変わるため、金額の決め方に迷う場合は専門家に確認してください。
意外と抜けやすいのが、契約を終えるときの決めごとです。
解約の申し出から終了までの期間は、引き継ぎ作業に必要な時間を考えて決めます。新しい保守先が決まる前に契約が終わってしまうと、その間に障害が起きても対応できる人がいなくなるためです。必要であれば、引き継ぎ期間中の作業を別途見積もりにしておく方法もあります。
管理情報がクライアント名義になっていないと、解約時に引き継げず、別の会社への移行が難しくなります。契約の段階で名義を確認しておきましょう。
引き継ぎを受ける側の確認項目は、別記事のWordPressサイトの引き継ぎチェックリストでも整理しています。渡す側と受ける側で同じ一覧を使うと、漏れが少なくなります。
契約書の雛形を一から作るのが難しい場合は、このチェックリストを見積書や発注書の別紙として添付するだけでも、口頭のやり取りよりはずっと行き違いが減ります。契約全体の考え方はWeb制作の契約で決めることもあわせてご覧ください。
Q. 保守契約書がなく、口頭で月額保守をしています。問題はありますか?
A. 作業範囲の認識違いが起きたときに確認できる根拠がありません。既存の取引でも、作業範囲と含まない作業の一覧だけは書面にしておくことをおすすめします。
Q. 更新作業で表示が崩れた場合、誰の責任になりますか?
A. 契約によります。更新前に検証環境で確認する作業が含まれているかどうかで扱いが変わるため、検証の有無を契約書に明記してください。
Q. 保守の月額はどう決めればよいですか?
A. 月額に含む作業の量と、対応時間の範囲によって変わります。先に作業範囲の一覧を作り、それぞれにかかる時間を見積もってから金額を決めると、説明しやすい料金になります。
Q. 保守を外注先に再委託する場合も、同じ項目で良いですか?
A. 基本は同じです。加えて、クライアントとの契約内容と外注先との契約内容がずれていないか(対応時間や範囲)を必ず照らし合わせてください。
保守契約書は、トラブルが起きたときに読み返す書類です。作業の範囲と、範囲外になったときの扱いを具体的に書いておくことで、制作会社様とクライアント、外注先の三者が安心して運用を続けられます。
RunLandでは、制作会社様の下請けとしてWordPressの保守・更新作業をお引き受けしています。契約範囲の整理からご相談いただけます。ご相談はこちら、サービスの詳細は外注・下請けサービスをご覧ください。
弊社では上記ブログ内容にある修正・カスタマイズのご依頼も承っております。
ご自身で行ってみて上手くいかない場合などこちらよりお気軽にご相談ください。