2026.11.03
※この記事は2026年11月03日時点の情報をもとに作成されました。
デザインをコーディングに渡す前のレビューでは、「見た目の良し悪し」ではなく「実装に必要な情報が揃っているか」を確認します。余白や文字サイズの規則、ボタンなどの状態(押す前・押した時)、文字が増えたときやスマホでの振る舞い、そして実装上の無理がないか——この観点で見ておくと、コーディング後の手戻りが大きく減ります。
デザイナーとコーダーが別の人・別の会社になる外注では、デザインデータに描かれていないことは、ほぼ確実に質問か手戻りになります。
この記事では、当社(RunLand)がデザインを受け取ってコーディングする立場から、レビューで確認してほしい項目をチェックリストとして公開します。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| レイアウト | 余白・カラム幅の規則が揃っているか、基準の画面幅は何pxか |
| 文字 | フォント・文字サイズ・行間の種類が整理されているか |
| 色 | 使用色が決まった数に絞られているか、背景と文字のコントラスト |
| 画像 | 比率・解像度・書き出し形式、差し替え時の扱い |
| パーツ | ボタン・見出し・カードなど共通パーツが統一されているか |
| 状態 | ホバー・押下・エラー・空の状態などが描かれているか |
| スマホ | 主要ページのスマホ表示、または崩し方のルールがあるか |
| 実装可否 | 動き・特殊な形・重なりなど、実装やCMS化で無理がないか |
この8つは、デザインの良し悪しを評価するものではありません。「コーディングする人が、デザイナーに質問しなくても作れるか」という視点で見ていくものです。デザイナー本人は意図を分かっているため、描いていないことに気付きにくいものです。レビューは、別の人の目で行うと効果が上がります。
数値の規則が揃っているかを確認します。規則がバラバラだと、実装時に「どれが正しいか」を判断できません。
レビューで見つかった点は、デザインデータを直すか、文書に残すかのどちらかで解決します。文書に残す場合は、次のような書き方にすると、コーディングする側がそのまま使えます。
■ 基準幅:1440px(コンテンツ幅1120px、それより広い画面では中央寄せ)
■ 余白:8の倍数。セクション間はPC 120px/スマホ 64px
■ 文字:見出し1・見出し2・見出し3・本文・注釈の5種類(サイズと行間は別表)
■ 色:メイン・アクセント・本文・背景・罫線の5色(カラーコードは別表)
■ 長い文字列:URLや英単語は折り返しを許可、見出しは2行まで想定
上の数値は書き方の例です。案件ごとの実際の値に置き換えてお使いください。文字や色の種類が多すぎる場合は、レビューの段階で整理を提案するのも有効です。似た大きさの文字や、わずかに違う色が混ざっていると、実装時にどれに揃えるべきか判断できず、ページごとに見た目がばらつく原因になります。
デザインで最も描き漏れが多いのが、「状態」です。静止画のデザインでは、操作したときの見た目が分かりません。
次の状態が描かれているか確認します。
フォームの状態はお問い合わせフォームの要件チェックリストもあわせて確認してください。
すべての状態を1つずつ描く必要はありません。たとえば「ボタンのホバーは全て背景色を少し暗くする」「エラーは入力欄の下に赤い文字で表示する」といったルールを1か所に書いておけば十分です。大切なのは、コーディングする側が想像で補わなくて済むことです。共通パーツをまとめたページを1枚用意し、そこに状態の見本も並べておくと、レビューも実装も効率よく進みます。
すべてのページでスマホデザインを用意できれば確実ですが、難しい場合はトップページと代表的な下層ページ1〜2枚のスマホデザインに、崩し方のルールを添える方法が現実的です。
| 用意するもの | 目的 |
|---|---|
| トップページのスマホデザイン | 全体の雰囲気とナビゲーションの見せ方を決める |
| 代表的な下層ページのスマホデザイン | 本文・表・画像の並べ方を決める |
| 崩し方のルール | 残りのページを同じ考え方で実装してもらう |
崩し方のルールを決めるときは、「何を優先して見せるか」を基準にすると判断がぶれません。スマホの画面は狭いため、PCで横に並んでいた情報をすべて同じ重みで並べると、大事な情報が下のほうに埋もれてしまいます。お問い合わせボタンや電話番号など、スマホで特に使われる要素の位置は、デザインの段階で決めておくのがおすすめです。
デザインとしては魅力的でも、実装や更新の段階で無理が出る表現があります。レビューの段階で気付いておくと、代わりの案を早めに検討できます。無理がある表現を見つけたときは、「できない」と伝えるのではなく、「この表現を活かすなら、更新の範囲をこう絞る」「表示速度を考えて、動画の代わりに静止画とアニメーションで表現する」のように、代わりの案とセットで相談すると話が前に進みます。
注意したい表現の例です。
更新を前提としたWordPress化の範囲はWordPressサイト制作を外注するで解説しています。
当社がおすすめしている進め方です。
データの整え方はデザインデータの渡し方、コーディングへの指示はコーディング指示書・仕様書の作り方をご覧ください。
当社(RunLand)は制作会社様の下請けを専門にしており、デザインをお預かりしてコーディングする機会が多く、受け取った段階で「状態」「スマホ」「長い文字列」の扱いを質問することがほとんどです。
レビューでこれらが整理されていると、質問の往復が減り、そのぶん実装と確認に時間を使えます。結果として、公開までの期間も短くなります。
逆に、レビューをせずにコーディングに入ると、実装が終わってから「ここはこう動くと思っていた」という食い違いが見つかります。デザインの段階なら直すのはデータだけですが、実装後はコードの修正と再確認が必要になり、手間が何倍にもなります。デザインの確認は、手戻りのコストが一番小さいうちに行うのが合理的です。
アクセシビリティの観点(コントラスト・色だけに頼らない表現・フォーカスの見え方)も、デザインの段階で確認しておくと後から直す手間が省けます。詳しくはWebアクセシビリティ対応を外注するをご覧ください。
Q. スタイルガイドは必ず必要ですか?
A. 必須ではありませんが、ページ数が多い場合や公開後に更新が続く場合は、共通パーツの一覧があると品質を保ちやすくなります。
Q. デザインツールのデータのまま渡してもよいですか?
A. はい。ただし、非表示のレイヤーや使っていないパーツは整理し、どれが最終版か分かるようにしてから渡してください。
Q. レビューにはどのくらい時間をかければよいですか?
A. ページ数や複雑さによって変わります。最初にトップページと代表ページを丁寧に確認し、残りのページは同じルールに沿っているかを中心に見ると、全体の時間を抑えられます。
Q. レビューはデザイナーとコーダーのどちらが行うべきですか?
A. 両方の視点があると理想的です。コーダー側から事前に質問を受ける場を設けるだけでも、手戻りは減らせます。
デザインレビューは「美しいか」ではなく「実装に必要な情報が揃っているか」を確かめる工程です。
まずはトップページと代表ページで8つの観点を確認し、描かれていないことを文書にするところから始めてください。デザインからのコーディングのご相談はご相談ページ、サービスの全体像は外注・下請けサービスをご覧ください。
弊社では上記ブログ内容にある修正・カスタマイズのご依頼も承っております。
ご自身で行ってみて上手くいかない場合などこちらよりお気軽にご相談ください。