2026.10.26
※この記事は2026年10月26日時点の情報をもとに作成されました。
コーディング外注の失敗は、ほとんどが発注前の「決めごと不足」で起きます。デザインの意図、スマホでの崩し方、動きの有無、CMS化の範囲、対応ブラウザ——この5点を発注時に文書で渡すだけで、手戻りの大半は防げます。
逆に言えば、外注先の技術力が高くても、ここが曖昧なままだと「言った・言わない」になりやすいのがコーディングという工程です。
この記事では、当社(RunLand)が制作会社様の下請けとしてコーディングを受ける中で、よく見かける失敗パターンと、その防ぎ方をチェックリストの形で整理します。
まず、よくある失敗を一覧にします。どれも技術の問題ではなく、情報の受け渡しの問題です。
| よくある失敗 | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| デザインと実装の見た目が違う | 余白・行間・フォントの指定が曖昧 | デザインデータに数値を残し、画面幅ごとの見本を渡す |
| スマホ表示が想定と違う | スマホ用デザインがなく「いい感じに」と依頼 | 崩し方のルールか、主要ページのスマホデザインを用意する |
| 動きが入っていない/入りすぎ | アニメーションの指示が口頭だけ | 動く要素・速度・きっかけを一覧にする |
| CMSで更新できない箇所がある | 更新したい範囲を決めていない | 更新する項目と担当者を事前に一覧化する |
| 特定のブラウザで崩れる | 対応範囲を決めていない | 保証するブラウザと版を明記する |
| 画像が重く表示が遅い | 画像の書き出し指示がない | 形式・最大サイズ・Retina対応の有無を決める |
| フォームが動かない | 送信先・自動返信・確認画面が未定 | フォームの要件を先に固める |
| 追加費用が発生した | 途中で範囲が増えた | 変更時の扱い(再見積もり)を最初に合意する |
発注前に、次の項目が文書で揃っているか確認してください。全部埋まっていなくても、「未定」と書いてあるだけで外注先は確認すべき点に気付けます。
指示書の書き方はコーディング指示書・仕様書の作り方で、テンプレート付きで解説しています。
このチェックリストを、そのまま依頼文にした例です。コピーして、【】の部分を書き換えてお使いください。
件名:【案件名】コーディングのご依頼
■ 対象ページ:トップ1・下層【数】(ページ一覧を添付)
■ デザイン:PC版・スマホ版(スマホ版がないページは添付の崩し方ルールに準拠)
■ 動く要素:スライダー(トップ)、スクロール時のフェードイン(見出しのみ)
■ CMS:お知らせ・実績をWordPressで更新(更新担当はクライアント様)
■ 対応ブラウザ:Chrome/Edge/Safari/Firefoxの最新版、iOS・Androidの標準ブラウザ
■ フォーム:お問い合わせ1種(項目は添付)、自動返信あり
■ 納品:テストサーバーへ設置、検収後に本番へ反映
■ 未定の事項:【例:フォームの送信先アドレス】
最後の「未定の事項」の欄が大切です。決まっていないことを隠さずに書いておくと、外注先は見積もりの前提をそろえやすくなり、後からの追加費用も起きにくくなります。
「デザインどおりに作ってください」は、実は一番解釈が分かれる依頼です。
デザインデータは「ある画面幅で、ある文字量のとき」の見本でしかありません。文字が増えたとき、画面が狭いとき、画像の比率が違うときの振る舞いは、デザインには描かれていないことがほとんどです。
当社では、受け取ったデザインに対して「文字が2倍になったら」「画面幅が中途半端なとき」の扱いを最初に質問します。この質問への答えを先に用意しておくと、仕上がりのズレは大きく減ります。デザインデータの整え方はデザインデータの渡し方にまとめています。
もう一つ多いのが、デザインツール上の見た目とブラウザの表示の違いです。同じフォントでも、ツールとブラウザでは文字の太さや行の高さがわずかに変わります。ピクセル単位で一致させることを検収の基準にすると、終わりのない修正になりがちです。「どの程度のズレまで許容するか」「どこは厳密に合わせるか(ロゴ・メインビジュアルなど)」を発注時に決めておくと、検収がスムーズになります。
すべてのページのスマホデザインを用意するのが理想ですが、現実には難しいこともあります。その場合は、崩し方のルールを決めて渡すのが有効です。
ルールの例です。
このくらいの粒度で決めておくと、外注先が迷う場面が少なくなります。
なお、スマホでの見え方は実機で確認するのが確実です。ブラウザの開発者ツールで画面幅を変えるだけでは、文字の大きさやタップのしやすさまでは分かりません。確認に使う端末をあらかじめ決めておくと、「自分のスマホでは崩れている」という報告の食い違いを防げます。対応範囲の決め方は対応ブラウザの範囲の決め方で解説しています。
WordPressなどのCMSに組み込む場合、失敗が多いのは「更新できると思っていた箇所が固定だった」というケースです。
更新の自由度を上げるほど、管理画面の入力項目が増えて操作が難しくなる面もあります。更新する人のパソコンの得意・不得意も考えて、必要な範囲に絞るのが結果的に使われる仕組みになります。「全部更新できるように」は工数が大きく膨らむので、優先順位を付けて決めるのがおすすめです。WordPress化の範囲についてはWordPressサイト制作を外注するも参考にしてください。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 誰が更新するか | クライアントの担当者/制作会社 |
| 何を更新するか | お知らせ・実績・スタッフ紹介・トップのバナー |
| どの程度の自由度か | 決まった枠に入力するだけ/レイアウトも変えたい |
| どのくらいの頻度か | 週1回のお知らせ/年数回の採用情報 |
失敗を防ぐ進め方の一例です。
トップページだけ先に確認する工程を入れると、方向違いに早く気付けます。フィードバックは1件ずつ小出しにするより、担当者の間で意見をまとめてから一度に伝えるほうが、修正の重複や指示の食い違いを防げます。検収のやり方はWeb制作の検収チェックリストをご覧ください。
当社(RunLand)は制作会社様の下請けを専門に、コーディングやWordPress構築をお受けしています。着手前には必ず、上で挙げた項目のうち「未定」のものを洗い出し、一覧にしてお返ししています。
不明点を着手前に潰しておくほうが、結果的に納期も早くなるからです。修正依頼の伝え方を揃えておくと、さらに手戻りが減ります。詳しくは修正依頼の伝え方で解説しています。
また、作業中に判断が必要になった箇所は、その場で決めて進めるのではなく、選択肢を添えてご確認いただくようにしています。たとえば「この見出しが2行になる場合、行間を詰めるか、文字を小さくするか」といった形です。小さな判断でも積み重なると仕上がりの印象が変わるため、制作会社様の意図から外れないことを優先しています。
Q. デザインデータがスマホ版だけ・PC版だけでも依頼できますか?
A. 可能です。もう一方の崩し方をルールで決めていただくか、こちらから案を出して確認いただく形で進められます。
Q. 途中で仕様が変わったらどうなりますか?
A. 変更内容と影響(工数・納期)をお伝えし、合意のうえで進めます。着手前に変更時の扱いを決めておくとスムーズです。
Q. 納品後の不具合はどこまで対応してもらえますか?
A. 検収の基準と、納品後の修正対応の期間・範囲を事前に取り決めておくことをおすすめします。当社では発注時に確認しています。
コーディング外注の失敗は、外注先選びよりも「渡す情報」で決まります。
まずはチェックリストの10項目を埋め、埋まらない項目は「未定」と書いて共有するところから始めてください。下請けとしてのコーディングのご相談はご相談ページ、サービスの全体像は外注・下請けサービスをご覧ください。
弊社では上記ブログ内容にある修正・カスタマイズのご依頼も承っております。
ご自身で行ってみて上手くいかない場合などこちらよりお気軽にご相談ください。