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フリーランスにWeb制作を外注するときの義務|フリーランス新法のポイント

2026.10.24

※この記事は2026年10月24日時点の情報をもとに作成されました。

フリーランスにWeb制作を外注するときは、発注内容と報酬・支払期日などを書面やメールで示すこと(取引条件の明示)が、どの発注者にも求められます。さらに従業員を雇っている会社が発注する場合は、納品から60日以内の支払い、禁止行為の回避、募集内容の正確な表示、ハラスメント対策などの義務も加わります。

これは2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(いわゆるフリーランス新法)」によるものです。Web制作は、デザインやコーディングを個人のクリエイターに頼む機会が多い業界なので、影響を受ける制作会社は少なくありません。

この記事では、発注側が押さえておきたい義務を、取引の長さごとに整理します。個別の判断が必要な場合は、厚生労働省・公正取引委員会の資料や専門家にご確認ください。

フリーランス新法の対象になるのはどんな取引?

対象になるのは、従業員を使用しない個人や、代表者1人だけの法人など(法律上の「特定受託事業者」)に、事業として業務を委託する取引です。Webサイトのデザイン、コーディング、ライティング、写真撮影などの外注はこれにあたります。

受注する側が従業員を雇っている会社の場合は、フリーランス新法ではなく、取引の規模によって取適法(改正下請法)の対象になるかどうかを確認します。

相手がフリーランスかどうかは、見た目の屋号や名刺だけでは判断できません。個人事業主でも従業員を雇っていれば対象外になり、反対に会社の形をとっていても代表者1人だけで従業員がいなければ対象になることがあります。継続して発注する相手には、従業員の有無を確認しておくと安心です。

発注側の義務は取引の長さで増える

厚生労働省・公正取引委員会の資料にもとづいて整理(詳細は公式資料を確認してください)

義務 発注者の条件 取引の条件
取引条件の明示 すべての発注者 すべての業務委託
報酬を期日に支払う(受領から60日以内) 従業員を使用する発注者 すべての業務委託
募集情報を正確に表示する 従業員を使用する発注者 広告などで募集する場合
ハラスメント対策の体制整備 従業員を使用する発注者 すべての業務委託
7つの禁止行為 従業員を使用する発注者 1か月以上の業務委託
妊娠・出産・育児・介護への配慮 従業員を使用する発注者 6か月以上の業務委託
中途解除・不更新の30日前予告 従業員を使用する発注者 6か月以上の業務委託

Web制作では、毎月の更新作業や保守を個人に継続して頼むことがあります。契約が長く続くほど義務が増える点に注意しましょう。

取引条件の明示:何を書けばいい?

発注のたびに、次のような内容を書面やメール、チャットなどで示します。口頭だけでの発注は避けてください。

  • 業務の内容(ページ数、作業範囲、修正回数など)
  • 報酬の額(決まらない場合は算定の方法)
  • 支払期日
  • 納品(給付を受け取る)の期日と場所
  • 発注者とフリーランスの名称、業務を委託した日
【発注内容】○○株式会社 コーポレートサイト 下層5ページのコーディング
【報酬】○○円(税別)※追加ページは1ページ○○円
【納期】○月○日 【納品方法】Gitリポジトリへのプッシュ
【支払期日】納品日の翌月末(納品から60日以内)
【修正】納品後○日以内の不具合修正を含む

作業範囲の書き方はコーディング指示書のテンプレートが参考になります。

当社(RunLand)は制作会社様の下請けを専門にしており、受注側として発注内容を受け取る立場ですが、上のような形で条件がまとまっていると、作業範囲の認識違いが起きにくくなります。発注のたびに一から書くのが大変な場合は、社内で発注メールの定型文を用意しておくと便利です。

1か月以上の取引で禁止される7つの行為

従業員を使用する発注者が、1か月以上の業務委託を行う場合、次の行為が禁止されています。

  • フリーランスに責任がないのに、納品物の受け取りを拒むこと
  • フリーランスに責任がないのに、報酬を減額すること
  • フリーランスに責任がないのに、納品物を返品すること
  • 通常より著しく低い報酬を一方的に決めること(買いたたき)
  • 正当な理由なく、物やサービスの購入・利用を強制すること
  • 金銭や労務などの経済上の利益を不当に提供させること
  • フリーランスに責任がないのに、内容を変更させたりやり直させたりすること

Web制作で起きやすいのは、クライアント都合の仕様変更を、追加報酬なしで何度も求めるケースです。仕様変更が発生したときは、範囲と費用を確認してから作業を依頼しましょう。

長期の取引で気をつけること(中途解除の予告など)

6か月以上続く業務委託を途中で解除したり、更新しなかったりする場合は、原則として30日前までに予告する必要があります。予告は書面やメールなどで行い、フリーランスから理由を求められた場合は開示が求められます。

契約を終える場合の流れの例:

  1. 契約期間と、業務委託が6か月以上続いているかを確認する
  2. 終了日の30日前までに、書面やメールで解除・不更新を伝える
  3. 理由の開示を求められたら、遅れずに伝える
  4. 最終の納品物と報酬の支払いを、当初の条件どおりに処理する

災害などやむを得ない事情がある場合などの例外はありますが、「プロジェクトが終わったので来月から不要」という連絡を直前にするのは避けましょう。保守や更新を継続して頼む場合は、契約期間と更新の方法を最初に決めておくと安心です。保守の範囲の決め方はWordPress保守の外注も参考にしてください。

発注側のチェックリスト

フリーランスに発注するときの確認項目です。

  • 相手は従業員を使用しない個人(または1人法人)か
  • 発注内容・報酬・支払期日・納期を書面やメールで示したか
  • 支払期日は納品から60日以内になっているか
  • 仕様変更や追加作業の扱いを事前に合意したか
  • 取引が1か月以上・6か月以上になる場合の義務を確認したか
  • ハラスメントの相談窓口など、社内の体制を整えているか

Web制作の外注で起きやすいトラブルと対策

フリーランス新法の義務は、Web制作の現場でよく起きるトラブルと深く関係しています。当社(RunLand)は制作会社様の下請けを専門にしており、受注側の立場からも、条件が曖昧なまま始まった仕事ほどトラブルになりやすいと感じています。

関係する義務は取引の長さや発注者の条件によって異なります

よくあるトラブル 関係する義務・禁止行為 対策
チャットで頼んだだけで、金額を決めていなかった 取引条件の明示 発注時に報酬額か算定方法を書いて送る
クライアントの支払いを待ってから外注費を払う 期日における報酬支払 納品から60日以内の期日を最初に決める
案件が中止になり、作業途中の分を払わない 報酬の減額・受領拒否 中止時の精算方法を事前に決めておく
仕様変更のたびに無償で作り直してもらう 不当な給付内容の変更・やり直し 変更の範囲と追加費用を合意してから依頼する
長く続いた保守契約を突然終わらせる 中途解除等の事前予告 契約期間と更新方法を最初に決める

特に、元請けとしてクライアントから入金されてからフリーランスに支払う運用は、支払期日の義務と合わないことがあります。資金繰りの都合も含めて、支払いの条件は発注の前に確認しておきましょう。

よくあるご質問(FAQ)

Q. フリーランス新法はいつから施行されていますか?

A. 2024年11月1日に施行されています。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

Q. 従業員がいない会社がフリーランスに発注する場合も対象ですか?

A. 取引条件の明示の義務は、従業員の有無に関係なくすべての発注者に求められます。支払期日や禁止行為などの義務は、従業員を使用する発注者が対象です。

Q. チャットでの発注でも条件の明示になりますか?

A. 書面のほか、電子メールやチャットなどの方法でも明示できるとされています。後から確認できる形で残しておくことが大切です。具体的な要件は公式資料で確認してください。

Q. 取適法とフリーランス新法の両方が関係することはありますか?

A. 取引の内容によっては両方の対象になる場合があります。どちらの義務が関係するかは、厚生労働省・公正取引委員会の資料で確認してください。

まとめ

フリーランス新法の考え方はシンプルで、「条件を最初に書いて共有する」「約束どおりに支払う」「一方的に不利な扱いをしない」の3つです。Web制作の外注では、作業範囲と修正の扱いを最初に書いておくことが、トラブルの予防につながります。

RunLandは法人として制作会社様の下請けを専門に承っています。外注先の選び方に迷っている場合は、フリーランスと制作会社の比較もご覧のうえ、ご相談ページからお気軽にお問い合わせください。サービスの詳細は外注・下請けサービスをご覧ください。

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この記事を書いた人 株式会社 RunLand 管理者

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