2026.11.05
※この記事は2026年11月05日時点の情報をもとに作成されました。
Web制作の外注で生成AIを使うなら、「使ってよい工程」「入力してはいけない情報」「生成物の確認方法」の3点を、発注前に書面で決めておくのが基本です。禁止か許可かの二択ではなく、工程ごとに線を引くと現場が迷いません。
生成AIはコーディング補助や原稿の下書き、画像の作成まで幅広く使われるようになりました。一方で、取り決めがないまま使うと、機密情報の入力や、既存の作品に似た画像の納品といったトラブルにつながります。
この記事では、制作会社様の下請けを専門とするRunLandが、外注先と共有しておきたい生成AIの取り決めを、そのまま使えるチェックリストの形で整理します。
外注では、発注した側が知らないうちに、制作の一部が生成AIで作られていることがあります。それ自体が悪いわけではありませんが、次のようなリスクがあります。
どれも「使う前に決めておけば防げる」ものです。契約全体の決めごとはWeb制作の契約で決めること|著作権・秘密保持・検収の実務もあわせてご覧ください。
取り決めは工程単位で作ると、外注先も判断しやすくなります。次の表をたたき台に、案件ごとに〇・△・×を埋めてください。
| 工程 | 主な使い方 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 構成案・ワイヤー | ページ構成のたたき台 | 〇(最終判断は人) |
| 原稿・キャッチコピー | 下書き・言い換え | △(事実確認と最終校正を必須に) |
| 画像・イラスト | 素材の生成 | △〜×(類似性の確認方法を決めてから) |
| コーディング | 補完・リファクタリング | 〇(レビューとテストを必須に) |
| 翻訳 | 多言語ページの下訳 | △(ネイティブ確認の有無を決める) |
| テスト・チェック | テストケースの洗い出し | 〇 |
×にする工程がある場合は、理由(クライアントの方針、業界の規制など)も添えて伝えると、外注先が代わりの手段を提案しやすくなります。
最も事故が起きやすいのが「入力」です。AIサービスによっては入力内容が学習や保存に使われることがあるため、少なくとも次の情報は入力しない取り決めにします。
どうしても業務データを使う必要がある場合は、入力内容を学習に使わない設定や法人向けプランなど、使ってよいサービスを指定しておきます。サービスごとの条件は変わるので、利用規約は導入時点の最新版を確認してください。
見落としやすいのが、コーディング補助ツールにソースコードごと読み込ませるケースです。設定ファイルや環境変数のファイルにパスワードが含まれていると、そのまま外部に送られてしまいます。コードを扱う工程では、認証情報を含むファイルを読み込ませない設定にしておくことも取り決めに入れてください。
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」や「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」では、生成AIを使った場合も、著作権侵害かどうかは通常と同じく「類似性」と「依拠性」で判断する考え方が示されています。
外注先と共有しておきたい確認事項は次のとおりです(最新の公式資料もあわせてご確認ください)。
特に画像は、ロゴやキャラクター、写真素材に似たものが出ることがあります。「AI生成の画像は使わない」「使う場合は事前に見せる」など、案件の性質に合わせて決めてください。
また、文化庁の資料では、利用者が既存の作品を知ったうえで、それに似たものを生成させた場合には依拠性が認められうる、という考え方も示されています。「AIが勝手に作ったから知らない」という説明は通りにくいと考えておくほうが安全です。具体的な判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に相談してください。
はじめて取り決めを作る場合は、次の順番で進めると抜けが出にくくなります。
最初から完璧な取り決めを作る必要はありません。まず1案件で試し、実際に迷った点を足していくほうが、現場で使えるルールになります。
発注書や仕様書に添付する形で使えるチェックリストです。
文化庁のチェックリストでも、生成の指示内容など生成過程を確認できる状態にしておくことが挙げられています。後から問われたときに説明できる記録を残しておくことが、双方を守ることになります。
取り決めは作って終わりではありません。当社(RunLand)でも、下請けとして案件を受ける際は、発注元の制作会社様の方針に合わせて「どの工程で何を使うか」を最初に確認しています。
運用で意識しているのは次の3点です。
セキュリティ面の確認事項はWeb制作を外注するときに確認すべきセキュリティ項目でも整理しています。
Q. 外注先に生成AIの利用を全面禁止してもよいですか?
A. 可能ですが、コーディング補助など品質に影響しにくい工程まで禁止すると、納期や費用に響くことがあります。工程ごとに可否を決める方法をおすすめします。
Q. AIで作った画像を納品してもらっても問題ありませんか?
A. 利用規約で商用利用が認められているか、既存の作品と似ていないかを確認したうえで使うのが前提です。不安がある場合は、写真素材やオリジナル制作に切り替える判断も必要です。
Q. 外注先がどのAIサービスを使っているか分からない場合は?
A. まず使っているサービス名と、入力した情報の範囲を確認してください。そのうえで、今後使ってよいサービスと入力禁止の情報を取り決めとして共有すれば、次の案件から運用をそろえられます。
Q. 生成AIを使ったかどうかは、クライアントに伝えるべきですか?
A. 法律上の一律の義務というより、取引の信頼の問題です。クライアントの方針を事前に確認し、求められた場合に説明できるよう、使った箇所を記録しておくと安心です。
生成AIは、ルールを決めて使えば制作の効率を大きく上げられる道具です。禁止するより、工程ごとに線を引き、入力と確認のルールを決めておくほうが現実的です。
RunLandでは、制作会社様の方針に合わせて生成AIの利用範囲を調整したうえで、下請けとして制作をお引き受けしています。取り決めのたたき台づくりからご相談ください。ご相談はこちら、サービスの詳細は外注・下請けサービスをご覧ください。
弊社では上記ブログ内容にある修正・カスタマイズのご依頼も承っております。
ご自身で行ってみて上手くいかない場合などこちらよりお気軽にご相談ください。